弘前藩よろず生活図鑑 Web版

陸奥新報紙面で掲載した内容を、
不定期に更新していく、
Web版よろず生活図鑑です。
紙面を見逃した方も、初めて読む方も、
分かりやすい内容となっています。

2010.04.28

つがる弘前、藩政時代の旅行を見聞

旅行ブームと旅行記

江戸時代の庶民は、幕府や藩によって観光や遊興を目的にした旅は、原則的に禁じられていた。しかし、信仰の旅は大目に見てもらえたため、人々は信仰や信心を名目に四国八十八ヵ所霊場巡りや、伊勢参りに出かけた。

弘前藩では、こうした遠隔地へ出かけていく信仰形態に対し、たびたび規制を行っている。 享和2年(1802)には、『東海道中膝栗毛』(十返舎一九(じっぺんしゃいっく)・作)が発行され、当時の人々を旅へとかきたてた。

文化・文政年間(1804〜30)には全国的な旅行ブームが訪れ道中記や、案内記などガイドブックの出版も相次ぐ。文化7年(1810)に発行された、八隅蘆菴(やすみろあん)の『旅行用心集』は、大ベストセラーになった旅のハウツー本である。

また、『浪花講定宿帳』は、江戸版「ホテルガイド」として評判を呼んだ。津軽に関する旅行記では、菅江真澄の『菅江真澄遊覧記』、古川古松軒の『東遊雑記』、橘南谿の『東遊記』などが知られている。

旅の服装と持ち物

江戸時代の旅は、徒歩がメイン。男性であれば、1日平均40?も歩いたという。そのため、履き物選びは最も重要であった。

旅の指南本の多くは、草鞋(わらじ)は武士の甲冑(かっちゅう)と同じなのでお金を惜しまず、できるだけ良いものを買い求めた方が良いと強調している。

当時の標準的な旅の服装は、脚絆(きゃはん)に手甲(てこう)、合羽(かっぱ)をはおり、菅笠(すげがさ)をかぶるスタイル。道中は危険も多いので、町人も護身用刀の所持が許された。

 『旅行用心集』では、旅の持ち物に「矢立(筆記具)、扇子、針と糸、日記手帳、櫛と鬢(びん)付け油、提灯、蝋燭(ろうそく)、洗濯物を干す麻綱」などを挙げている。また、便利グッズとして、軽さを追求してつくった「紙のそろばん」や、スリ対策のため刀に見せかけた小銭入れなど、ユニークなものも紹介している。

現代にも通じる旅の心得

前出の『旅行用心集』は、今から200年前に書かれたものであるにも関わらず、現代にも通じる旅の知恵や心得が記されており興味深い。

旅の所持品、空模様の見方、船酔いの対処法、水が替わることへの用心、毒虫を避ける方法、疲労回復法など、実用的な裏技が満載。

「旅の所持品はできるだけ少なくすべき。所持品が多いと忘れ物も多くなって、かえてわずらわしくなる」というあたりは、現代でも変わらない。

挿絵1

挿絵2

挿絵3

挿絵4


記事カテゴリー


バックナンバー


ダウンロード

陸奥新報紙面で掲載した内容を、プリントアウトして読みたい方に、A4サイズにレイアウトしたPDFがダウンロードできます。


参考文献・協力

弘前藩よろず生活図鑑を制作するにあたり、ご協力いただいた方々や参考文献・資料一覧はこちらから。


弘前藩よろず生活図鑑は


編集部が製作しています。