蓑虫山人(1836~1900)は、幕末から明治にかけて全国を旅した画家。美濃国(現在の岐阜県)に生まれ、14歳の時に放浪の旅に出た。青森県には、津軽地方を中心に10年近く滞在し、名所旧跡、街並み、祭りなど当時の暮らしの様子を描いている。平成13年(2001)に大鰐町の個人宅で発見された蓑虫山人の、全3巻からなる絵巻物『三面瀑岩木川図巻』(大鰐町・成田文治:所蔵)は、岩木川上流の「暗門の滝」から「十三湖」までを描いた長さ45メートルの大作。岩木橋や富士見橋、材木を集めておく樋ノ口土場、その向こうに見える五重塔や長勝寺、帆掛け船の往来、漁の様子などが鳥瞰図風に描かれている。
上記の取材協力(2009年当時)
成田文治