yorozurogo
江戸時代から近代にかけての弘前を中心とした生活図鑑

旅と娯楽ノ編

左/岩木山、 右/マユダマ

左/岩木山(『粉本稿』)/他の多くの旅行者同様、菅江真澄も岩木山の姿を写し取っていた。右/マユダマ(『追柯呂能通度』)小さく丸めた餅を枝に刺し、豊作を祈願する農村の正月行事のひとつ。

蓑虫山人(みのむしさんじん)が見た
岩木川と津軽の暮らし

蓑虫山人(1836~1900)は、幕末から明治にかけて全国を旅した画家。美濃国(現在の岐阜県)に生まれ、14歳の時に放浪の旅に出た。青森県には、津軽地方を中心に10年近く滞在し、名所旧跡、街並み、祭りなど当時の暮らしの様子を描いている。平成13年(2001)に大鰐町の個人宅で発見された蓑虫山人の、全3巻からなる絵巻物『三面瀑岩木川図巻』(大鰐町・成田文治:所蔵)は、岩木川上流の「暗門の滝」から「十三湖」までを描いた長さ45メートルの大作。岩木橋や富士見橋、材木を集めておく樋ノ口土場、その向こうに見える五重塔や長勝寺、帆掛け船の往来、漁の様子などが鳥瞰図風に描かれている。

暗門の滝(第一)
暗門の滝(第一)

暗門の滝(第一)
白神山地内の暗門川にかかる3つの滝の、最深部にある滝。

岩谷観世音
岩谷観世音

岩谷観世音
馬の霊を弔ったと伝えられる観音堂。岩木川沿いの洞窟にあり「岩谷観音」とも呼ばれる。

乳穂ヶ滝
乳穂ヶ滝

乳穂ヶ滝(におがたき)
落差33メートルの滝。厳冬期には結氷した滝の形状から作物の豊凶が占われている。

久渡寺
久渡寺

久渡寺
久渡寺は藩の祈願所として庇護を受け、現在はオシラ様信仰が盛んな寺院としても知られる。

天満宮・大圓寺(最勝院)・岩木橋・駒越

天満宮・大圓寺(最勝院)・岩木橋・駒越
手前はかつて舟の渡し場のあった駒越村。橋の向こうには大圓寺の五重塔、小高い丘に建つ天満宮が見える。

五所川原・乾橋

五所川原・乾橋
西北を結ぶ基幹道として架けられた乾橋。

十三湖河口
十三湖河口

十三湖河口
つがる市の「呑龍岳(どんりゅうだけ)」からは十三湖をはじめ、遠くは権現崎までをも一望できる。安東水軍の下で隆盛を誇った十三湖には多くの伝説が残されている。

上記の取材協力(2009年当時)
成田文治